インビザラインは、アライン・テクノロジー社というアメリカ企業が開発したコンピューターを利用した新世代の矯正治療法です。
マウスピースを使って歯並びを整えていくのが特徴です。
このような方に向いています
- 矯正装置が目立ちたくない方
- 食事や歯磨きなど日常生活に矯正治療が影響を及ぼしたくない方
- 通院回数を減らしたい方
- 矯正治療中の痛みを少なく抑えたい方
- マウスピースの自己管理ができる方
- 軽度な叢生の方
- 矯正治療のあともどりの方
このような方には向いていません
- 骨格に原因のある歯列不正の方
- マウスピースの自己管理が難しい方
(20時間以上の使用が必要です)
治療の特徴
インビザラインには次のような特徴があります。
- 1
マウスピースを使う
-
インビザラインは、マウスピースを矯正装置として使っています。
従来のような歯に接着するブラケット、ブラケットに通している金属製のワイヤーなどの複雑な矯正装置を使いません。
- 2
目立ちにくい
-
従来型の矯正装置では、ブラケットや金属製のワイヤーがどうしても目立ってしまいます。
裏側につけるタイプでは目立ちにくくなりますが、全く見えないわけではありません。
インビザラインなら、薄く透明なマウスピースを使うので、矯正治療をしていることに気づかれないほど、目立ちません。
- 3
取り外し可能
-
インビザラインの矯正装置はマウスピースですから、取り外しが可能です。
従来型の矯正装置では、食べ物が引っかかりやすい上、歯磨きも困難でした。
インビザラインなら食事のとき、歯みがきのとき、マウスピースを取り外すことができるので、矯正治療を始める前と同じように過ごせます。
- 4
通院回数を減らせる
-
従来型の矯正装置は、ワイヤーを1ヶ月おきくらいに調整、交換しなければならないので、毎月の通院が必要です。
インビザラインなら、交換用のマウスピースをあらかじめ渡しておくことができるので、従来型の矯正治療よりも通院間隔を長くすることができます。
また、海外からの通院も可能で、治療途中に留学や転勤も可能です。
- 5
痛みが少ない
-
インビザラインでは、0.25ミリずつ歯を動かします。
1回のマウスピースで動かす範囲が極めて短いので、通常の矯正治療と比べ、歯を動かすときの痛みが少ないです。
使用機器
インビザラインでは次に挙げるものを利用します。
アライナー
アライナーは、インビザラインで使うマウスピースです。
ポリウレタンで作られており、厚みは0.5ミリです。
透明度も高く、歯へのフィット感にも優れており、装着時の違和感も少ない優れたマウスピースです。
クリンチェック
クリンチェックは、アライン・テクノロジー社が開発した解析ソフトで、現在の歯並びから最終的な位置までの歯の移動をシミュレーションします。
このシミュレーション結果に基づいてマウスピースが作成されるので、クリンチェックは、インビザラインのシステムの根幹といってもいいほど重要なソフトウエアです。
また、最終チェックは担当ドクターが確認するので安心です。
期待できる効果
インビザラインを選ぶと次のような効果が期待できます。
目立たない
インビザラインのマウスピースは、透明度が高いだけでなく、厚みもとても薄く、歯にフィットしているため、つけていても一見するだけではわからないほどに目立ちません。
食事や歯磨きが今までどおり
マウスピースですから、食事のときや歯磨きのときに取り外せます。
外せば、矯正治療前と同じように食事や歯磨きができます。
口内炎ができない
通常の矯正装置は、たいへん複雑な形をしているので、しばしば頬や唇などを傷つけてしまいます。
インビザラインのマウスピースは、とても滑らかで凹凸がないため、頬や唇などを傷つけることがありません。
通院回数を減らせる
通常の矯正治療ではワイヤーの交換や調整をご自身でしていただくことができないため、必ず歯科医院で1ヶ月おきくらいの間隔で調整してもらわなくてはなりません。
インビザラインのマウスピースは、交換文をいくつか先にお渡しすることができますので、その分通院間隔をのばし、通院回数を減らすことができます。
注意事項
インビザラインにもいくつかの注意点があります。
時間を守る装着
インビザラインのマウスピースは、1日18〜20時間以上つけていないと、歯を治療計画通りに動かすことはできません。基本的には食事と歯磨き以外の時間はずっとつけておくようにしてください。16時間未満ですと、次のマウスピースが入らなくなります。
定期交換を忘れない
インビザラインのマウスピースは、1〜2週間おきに新しいものに交換するようになっています。交換時期を過ぎたマウスピースは、歯を動かす能力がなくなっているので、次の段階のマウスピースに交換しないと治療が進まないからです。
歯科医師から指示された交換時期を必ず守るようにしてください。
チューイーを使う
チューイーは、マウスピースを歯に正しくつけるための咬む器具です。マウスピースが歯に正しくつけられていないと、矯正力を正しく歯に伝えることができなくなります。
マウスピースを歯につけるときは、チューイーを使いマウスペースを圧接するのを忘れないようにしてください。
治療を受けられない方
次のような方は、インビザラインでの治療は困難です。
骨格に原因の歯列不正の方
顎の骨格に異常がある顎変形症という歯列不正の方は、顎の骨格の形や大きさ、位置を治す外科矯正の対象になります。
外科矯正では、顎の手術をした後、一定期間顎間固定という上顎と下顎の歯を固定する処置をするのですが、マウスピースでは顎間固定はできません。
したがって、顎変形症の方は、インビザラインでの治療は困難です。
マウスピースを管理できない方
マウスピースをつけ忘れてしまう方、無くしてしまう方も、インビザラインでの矯正治療は困難です。
治療について
歯の位置関係や噛み合わせ、顎の骨格などのデータをコンピューターに入力します。
これらのデータはクリンチェックという解析ソフトにかけられて、矯正治療による歯の動きをシミュレーションします。
シミュレーション結果に基づいて、専用の工作機械を使ってマウスピースを自動的に作ります。
人の手を介することなく、マウスピースを作るので、手作業による誤差がなく、
予想される歯の動きに合わせ、将来使うマウスピースまで作り出せます。
リスク・副作用
インビザラインの治療上のリスクや副作用としては次のようなものが挙げられます。
歯の移動による痛み
インビザラインも通常の矯正治療と同じく、歯を移動させたときに痛みや違和感を感じることがあります。
ただし、痛みや違和感自体は、前述したとおり通常の矯正治療と比べて少ない上、数日経つと慣れてくることが大半です。
歯肉の腫れ
歯磨きやマウスピースのお手入れが不十分だった場合、歯肉が腫れたり出血したりすることがあります。
歯と歯の間までていねいに歯磨きすること、マウスピースもきれいに保つことで、歯肉の腫れや出血は防げます。
治療計画通りに進まない可能性
インビザラインはコンピュータのシミュレーションにしたがってマウスピースを作り、歯並びを整えていきます。
マウスピースの使用状況や個人差などにより、計画通りに進まないこともあります。
もし、治療計画通り進まなくても、途中で治療計画を修正する場合があります。
医薬品医療機器等法の未承認矯正装置
インビザラインのマウスピースは、医薬品医療機器等法の承認を受けていません。
インビザラインを使った矯正治療中に何かあった場合、医薬品副作用被害救済制度の対象外となってしまう可能性があります。
なお、マウスピースの素材自体は日本国内の薬事認証を受けていますので、お使いいただく分にはご心配に及びません。
治療の流れ
インビザラインでの治療の流れを説明します。
-
- 1問診
- まず、歯並びのどの点が気になっているのか、どのようにして治したいかなどをお聞きします。
また、現在治療中の病気、そして過去にかかったことのある病気、食べ物や薬へのアレルギー歴の有無などもお尋ねします。
-
- 2検査
- インビザラインの術前検査では、歯並びの模型作製、レントゲン写真撮影、お顔と口元、歯並びの写真撮影に加え、口腔内スキャナーによる歯並びのスキャニングなども行われます。
-
- 3診断と治療方針の決定
- 術前検査の結果をもとに歯列の状態を診断し、それに基づいて治療方針を決定、治療計画を策定します。
治療方針や治療計画に同意をいただければ、インビザライン治療の開始です。
-
- 4シミュレーション
- 術前の口腔内スキャナーのデータをクリンチェックに入力し、歯の移動をシミュレーションします。
-
- 5マウスピースの作製
- シミュレーション結果をアラインテクノロジー社に送信し、インビザラインのマウスピースの作製を依頼します。
完成したマウスピースは歯科医院に届けられます。
届いたマウスピースをお渡しして、インビザラインがスタートします。
-
- 6定期的な経過観察
- インビザラインでの矯正治療中、定期的に歯科医院を受診していただき、治療計画通りに進んでいるか、確認します。
-
- 67終了
- 全ての歯の移動がシミュレーション通りに完了すれば、インビザラインは終わりです。
-
- 8保定
- インビザラインも通常の矯正治療と同じく、治療終了後は後戻りを防ぐための保定と呼ばれる処置に移ります。
治療後の注意点
インビザラインの治療後の注意点は次のとおりです。
リテーナーを使う
インビザラインも矯正治療が終わった後、後戻りを起こす可能性があります。
後戻りを起こしてしまうと、せっかく整えた歯並びが再び乱れてしまいます。
後戻りを防ぐため、リテーナーという矯正装置を正しく使うようにしてください。
定期的な経過観察
矯正治療が終わった後、数ヶ月〜1年くらいの間隔で歯科医院で歯並びの状態を診てもらってください。
よくある質問
インビザラインでの治療に関してよく聞きする質問をいくつかあげさせていただきます。
保険診療で治せますか?
インビザラインも通常の矯正治療と同じく保険診療の対象外です。
マウスピースを無くしたとき、再製作できますか?
マウスピースを無くしても、データが残っているので再製作できます。
ですが、日数がかかるので、無くさないようにご注意ください。別途料金がかかることがあるので注意しましょう。
古いマウスピースもとっていたほうがいいですか?
使い終わったマウスピースは、一つ前の段階のものだけ置いておいてください。
それより古いマウスピースはとっておく必要はありません。
費用
インビザラインの治療費は、それぞれの歯科医院で異なりますが、100万円前後が相場です。
医師からのコメント
インビザラインは、目立ちにくい上、食事や歯磨きのとき外せるのでとても便利な矯正装置です。
痛みも少ないなど、通常の矯正治療にはない多くのメリットがあります。
インビザラインにご興味のある方は、ぜひご相談ください。